コラムcolumn

2024年10月21日

「議会に財務書類の提出」

 作成された財務書類は議会に提出する必要があるのでしょうか?
 統一的な基準による地方公会計マニュアル(令和元年8月改訂)Q&A集を紹介したいと思います。

質問 回答
作成した財務書類等は、監査委員の審議対象や議会への報告事項となるのでしょうか 地方公共団体が作成する財務書類等については、監査委員による審査や議会への報告が義務付けられているものではありませんが、前者は財務書類等の正確性・信頼性の確保に資するものであり、後者は地方議会の監視機能の向上に資するものであるため、いずれも有意義な取組だと考えられます。

 多くの自治体は、議会への報告が義務付けられていないとの理由で、財務書類を議会に提出はしていません。
 私が習志野市の会計管理者だった平成26年12月の定例会で次のような質問がありました。

(質問内容要旨)決算委員会に財務書類の提出が可能であるか

 地方自治法などで議会への報告が義務付けられている現行の決算書等と違い、財務書類は法定書類でないことから肩身の狭い思いをしていた私としては、決算委員会に正式な形で財務書類を提出するような答弁を考えていました。答弁をするにあたり、市の内部で議論した結果、提出義務がないとの理由や議会との調整もあり、難しいとの結論になりました。そんな中で、「参考資料」として「議員個人」に渡すとのことで庁内の合意が得られた答弁の一部を紹介します。

(会計管理者答弁内容要旨)
 現行においては、当該年度の財務書類については、翌年度の3月末に、年次報告書いわゆるアニュアルレポートとして作成している状況です。
 来年度以降につきましては、決算委員会の時期までに、議員の皆様に参考資料として、公会計情報の提供をしていきたいと考えております。

 正式な形での財務書類の提出はできませんでしたが、決算委員会の前に議員の勉強会の場で財務書類の概要の説明の機会を得ることができました。また、議員に説明する前に市の部課長が集まる会議でも同様の説明の機会を得ることができました。
 このことにより、公会計のことや財務書類について、議員や職員の理解が進んだのではないかと感じました。いずれにしても地道な活動で公会計の理解や周知をしていく必要があると思います。

システムディ顧問 宮澤 正泰(元習志野市会計管理者)