コラム

2012年6月 京の水-染井の井戸

 京の三名水と言われたのは県井、醒井と、唯一現存する染井の井戸。京都御所の東側、清和御門を出た所にある梨木神社の本殿の手前にあって、今も年中美味しい、勿論きれいな水が湧出ていて、貰い水に来る人が絶えない。

 この神社は、幕末から明治維新にかけて活躍した三條実満・実美親子をご祭神として明治18年に創建されたというから、京都では最も新しい神社といえるかも知れない。
 しかし、井戸そのものは、はるか平安時代の始め頃から、宮中ご用達の着物の染所の水としてあったというから、1000年以上絶えることなく水を提供してきたことになる。

 境内には、やはり創建前の人である上田秋成の歌碑もあったりして、『京によきもの三つ。女子、賀茂川の水、寺社・・・』と言った南総里見八犬伝の滝沢馬琴も、或いはこの染井の井戸水に喉を潤していたかもしれない。但し京の女子と楽しめたかどうかは定かではないが…。 (M)

 (梨木神社―染井の井戸は、京都本社から徒歩15分、京都御所の東側に隣接しています)

【2012年06月01日】

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