コラム

2016.10 京の食材 『若狭アマダイ…グジ』福井訛の魚の女王

グジ 甘鯛(アマダイ)、それも若狭湾で取れたアカアマダイを、京都では『グジ』という。甘鯛というが、実はタイではなくスズキの仲間である。そして、何故『グジ』なのか?それは、若狭湾で獲れたアマダイだからである。その昔この魚は、頭の形から「屈する頭の魚→屈頭魚、即ちクヅナ」と呼ばれていたが、若狭の漁師さん達の福井訛もあって「クヅナ→グヅナ→グジナ→グジ」と変化したようだ。

 若狭湾は、京都から一番近い漁場である。昔から、サバやカレイ、そしてグジ等が上がり一塩振って京都に運ばれた。いわゆる鯖街道である。若狭からの山あり谷ありの80kmを大きな荷を背負って駆け抜けて、京都に届けられた。だから、こだわる魚屋さんや料理人さんたちは、今も若狭湾産のアカアマダイだけをグジと言って区別し、若狭の漁師さん達も一本釣りや延縄漁で丁寧に釣り上げたアカアマダイを厳選して、魚の女王『若狭グジ』のブランドで出荷している。

 若狭グジだけでなくアマダイそのものは、一年を問わず各地で水揚げされ、廉価で美味しい干物もあるが、肌寒くなる秋から厳寒の冬の時期が特に美味しい。甘味のある淡白な白身の魚であり、刺身は勿論焼き魚や蒸し物、椀物によく調理される京料理には欠かせない上品な魚である。その上品な魚ではあるが、酒蒸しでは、音を立てて骨までしゃぶって食べる。綺麗にしゃぶると、喉の辺りから人型の可愛い仏様が現れて幸せを招くとか。それほど美味しいし、ありがたみを感謝してと、いうことなのだろう。(M)

【2016年10月03日】

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