コラム

2020.05 京はやましろ、川の町…比叡山頂花畑、吹き飛ばそう コロナウイルス

比叡山 京の東は比叡山である。正確に言うと比叡山には二つの山頂があって、北側の大比叡は大津市域、南側の四明岳は京都市域となっている。しかし、京都市街からは山の大部分が見え、東山36峰の起点でもあることから、一般的に京都の山として認識されている。西の愛宕山に並ぶ東の比叡山はともに山岳信仰の対象であり、平安時代の初期に最澄によって天台宗の総本山延暦寺が建立され、都の王城鎮護の役割を担ってきた。
 比叡山への登頂ルートは、山頂を要として東西南北から4本のルートがある。整備された徒歩ルートもあるが、東は琵琶湖畔の坂本から、西からは叡電八瀬駅から、どちらもケーブルカーやロープウェイで十数分。北からは奥比叡ドライブウェイで、南からは京都市左京区の別当町から山中越を通って車で行ける。千日回峰行等の荒行で有名な延暦寺のお坊さんには申し訳ないが、極めて気楽に行ける行楽地でもある。

 山の東北部に位置する延暦寺域は大杉や古木が立ち並び、山岳宗教の如何にもの雰囲気であるが、山頂の反対側の南西部は、開かれた明るい世界が拡がる。八瀬駅からケーブルカーとロープウェイを乗り継いで、比叡山山上駅に到着するとすぐ『ガーデンミュージアム比叡』のプロヴァンスのゲート。色鮮やかな花々がハーブの香りに包まれている。山上の花園と言っても、高原植物ではなくバラや牡丹、芍薬等の平地の花木類が咲き誇っている。その散策路には、フランス19世紀のルノアールやゴッホなどの陶板画が適所に建て架けられ、モネの水連の池の周りには柳やあやめ、カキツバタが咲き誇って、日本庭園が再現されている。さらに進むと休息所、そこにはナンと足湯が設けられているのはご愛嬌!山頂付近ではかつての遊園地の展望台も健在で、東を望めば琵琶湖から鈴鹿山系、西を眺めれば京都市街からはるか大阪平野を望むことが出来、花と芸術と開かれた空間を楽しめる。

ガーデン 残念ながら少なくとも5月6日までは新型コロナ禍で閉園中だ。が、この空気の流れのよい山上のフラワーガーデンと、繁華街の飲食店を同じ自粛の対象に扱えるだろうか?
 かつてヨーロッパを襲った黒死病(ペスト)から逃れた人々が、トスカーナ等の小高い山上都市で生き延びたように、ウイルスは高地に弱いかもと期待感だけの話ではあるが、少なくとも三密感染や飛沫感染からは縁遠いはず…一日も早い開園を望む2020年の春である。(M)

【2020年05月01日】

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