コラム

2015.06 姉さん六角 京の道…老舗も新規もハイカラな『京都寺町 美術通り』

寺町通 寺町通りは秀吉によって河原町通りから西へ一本入った辺りに寺が集中移転されたことに始まる。織田信長が明智光秀によって本能寺で討たれ、その光秀を破って天下を取った秀吉が、信長を弔うためか、或は何らかの後ろめたさ故か、焼け廃れた本能寺を河原町御池西入に移転して再建し、街中のお寺を移築して寺町通りが出来た。

 明治の頃は京都市電が走っていた(今出川~二条間)寺町通りの北部、建物自体が古美術のような京都市役所辺りから御所の南端-丸太町に到る1,000mぐらいの一帯には、そのころからちょっとハイカラに構えたお店が並んでいた。梶井基次郎の‟檸檬”の『八百卯』は数年前に閉店したが、京漬物本来の味『福田本店』、近現代の絵画を企画展示する『ギャルリー宮脇』、お茶一筋の『一保堂』、紙専門店の『紙司柿本』、こだわりの書籍が並ぶ『三月書房』、手作りオレンジゼリーの『村上開新堂』やパン料理の『進々堂』等の通好みの老舗が軒を連ね、茶道具や骨董品店、手芸材料店などの専門店も点在する。

 さらに最近では幾つかのギャラリーも新しく開設され、新旧アートのシナジー効果で寺町美術通りとなった。美術関連商店だけではなく、買い物客や通行人も含んだ通り全体が醸し出す品のある空気がそうなのである。素人の手作り市やフリーマーケットとは異なり、店を構えたプロが選んだ商品は、見るだけでも楽しく満足感を得られ、そして何より心ときめく。目利きが選んだ現代アートや、何年もの時間の中で磨かれた古美術や工芸品は心の道楽である。
 勿論そこにつけ込んだまがい物もあるようだが、気に入ればそれもまた一興。(M)

【2015年06月01日】

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