コラムcolumn
2024年11月26日
「自治体の財政状況が良いということは?」
財政状況が良い自治体とはどういうことでしょうか?個人であれば、毎月定期的な収入があり、収入の範囲で生活費が賄えていて、急な出費に備えた貯金があればいいというイメージがつくと思います。
自治体の場合はどうでしょうか?私が重要視するのは、「自治体が基礎的な自治体として、運営するにあたり安定的な財源があるかということです。
ここで、基礎的自治体として運営するためにはいくらお金が必要なのかの金額として当該団体について地方交付税法で算定される「基準財政需要額」の数値を指標とすることが良いと思います
(用語の定義)
第2条第3項
基準財政需要額 各地方公共団体の財政需要を合理的に測定するために、当該地方公共団体について第14条の規定により算定した額をいう。
基準財政需要額は個人でいえば、毎月かかる最低生活費のようなものです。この最低生活費以上の安定した給与収入があればいいということになります。仮に最低生活費よりも給与収入が少なければ、借金をするか、親などから援助を受けなければ生活ができないということです。
自治体の場合、個人の給与収入にあたるものが地方税の収入ということになると思います。生活費である基準財政需要額を地方税の収入でどのくらい充足しているかということを見てみることで自治体の財政状況がわかります。地方税は住民税、固定資産税、軽自動車税、市町村たばこ税などです。すなわち、自治体固有の財源ということだからです。
そうはいっても、地方税収入が不足する自治体もあり、そのような場合は基礎的自治体として運営できるよう地方交付税が交付されます。個人でいえば、親からの援助ということになりますので、ここでは地方交付税は対象から外して考えてみます。
基準財政需要額と地方税のデータは「決算カード」と検索すれば総務省のホームページから見ることができます。https://www.soumu.go.jp/iken/zaisei/card.html
ここで基準財政需要額÷地方税×100➡とくに100%を超えていれば安定した財源があるということであり、財政状況がよいということになると思います。
ただし、今は財政状況がいい団体が財政危機団体の宣言をしている事例があります。これは債務の返済ができなくなっての財政危機ではなく、固定的な経費(資産の持ちすぎによる施設の維持費や施設があることによりかかる事業費や人件費)の増大によるものです。このことから、「資産=負担」を考えるうえで公会計のデータが必要ということです。
システムディ顧問 宮澤 正泰(元習志野市会計管理者)