2019/08/30
2019.09 レトロ京都…リニューアルされた『新・京都動物園』レトロな‟遊園地”はそのままで
行楽シーズンの秋。だが、京都市内には観光地はあっても遊園地はない。伏見城キャッスルランドも八瀬遊園も閉園されて久しい。テーマパークもない。わずかに、東映映画村が映画産業の名残として、存命しているに過ぎない。住宅街の小公園以外には、屋外で気楽に遊べる場が市内にはないのである。
加えて、京都ではどこもかしこも年中観光客が溢れている。まさにオーバーツーリズム。とりわけ人気スポットへの外国人の集団観光は、のんびりゆったりの行楽をもはや過去のものにしてしまった。
市中心部の岡崎公園にある京都動物園は、『近くて楽しい』数少ない市内の行楽地である。公園の東南の一角にある動物園は、それほど広くもなく、全国的に名が通っているわけでもない。つまり、観光スポットではないのだ。観光客-特に外国人観光客は、ほとんど見かけない。家族連れやカップルが動物たちとのんびり時間を共にしている、そんなスペースである。
1903年(明治36年)に誕生した古い動物園だが、戦中戦後を通じて改装されることなく、従って見慣れぬ動物をただ見物するということに終始し、狭い檻の中を所在なさげにうろつく、時にはゴロ寝している動物を金網越しに見ているだけだった。
が、『種の保存』という大きなミッションを果たす施設として2015年にリニューアルされ、少しは開放的になった空間で野生を取り戻したのだろうか?ゴリラや象の大型動物の気まま(?)な動作や、時に雄たけびをあげる猛獣や鳥類の臭いも含めた生態に至近距離で接することが出来るようになり、モニター越しでは得られないリアルな感覚が得られるようになった。
そして、ここだけはそのまま残された園中央のレトロな遊園ゾーン。懐かしい観覧車や小型列車が、遊び心を盛り上げ楽しさを増幅してくれる。動物も人も、青天井の下、開放された空間でゆったりしたいのである。まさしくこの遊園ゾーンが、新・京都動物園の胆(キモ)なのだった。(M)