コラムcolumn

2022年09月02日

各自治体における固定資産台帳の公表状況

総務省は、各地方公共団体に統一的な基準による財務書類の作成を要請しており、その一環として「固定資産台帳の各地方公共団体のホームページにおける公表状況」を総務省ホームページに掲載している。当社では、このリンクをたどって、各自治体のホームページにおける固定資産台帳の公表状況を調査した。調査日は、令和4年9月1日。

《固定資産台帳のHPにおける公表状況(都道府県別)》

固定資産台帳のHPにおける公表状況(都道府県別)

統一的な基準による地方公会計マニュアルの、「資産評価及び固定資産台帳整備の手引き」の第5段に、「固定資産台帳については、公表を前提とする」とある。もとより公表が前提だったわけだが、9月1日現在、ホームページで公表している自治体は、全国1788団体中762団体で、公表率は約40%にとどまる。

各都道府県庁と、全国20ある政令市については、総務省のホームページに公表状況がリンクで示されている。他の自治体に手本を示すべき都道府県庁や政令市でも、公表率はあわせて約50%。

今年8月1日から総務省で開催されている「今後の地方公会計のあり方に関する研究会」第1回でも、委員から「固定資産台帳の公表を強く要請すべきではないか」という意見も出ている。

調査は、総務省ホームページ他、各都道府県の公表状況を示すリンク集より進めたが、市町村を管轄する都道府県担当部署の温度感の違いもあってか、都道府県別に見ると公表率にバラつきが見られる。中にはリンク集のページ自体が消されたケースもあった。

総務省は、原則、全項目エクセル形式等の編集可能なデータ形式での公表を求めており、「窓口等で閲覧」とする自治体は本調査の上では公表でカウントしていない。

【元習志野市会計管理者の宮澤正泰さんの話】

自治体の職員だったから正しくないと公表したくないのは理解できる。習志野市ではその時点で正しいと考える固定資産台帳を公表していたが、間違いなどご指摘も受けたこともあり、後になって齟齬があるとわかる場合もあった。そのような箇所は後年の作業において修正して(後年版として)公表していた。公会計は調査判明等で後からの修正も可能である。都度訂正し公表した結果として、精緻化が進むと考えてもよいのでは。