コラムcolumn
2022年10月20日
今後の地方公会計のあり方に関する研究会②
総務省は、10月19日、「今後の地方公会計のあり方に関する研究会」第2回を開催した。
今回は、「貸借対照表における所有外資産の計上について」、「地方公会計の活用に関する今後の進め方について」の二つのテーマに絞って議論された。
研究会で議論されるテーマ
(1)地方公会計情報の一層の活用方法の検討 ←※今回の該当テーマ
・固定資産台帳の活用(公共施設マネジメント等)
・財務書類の活用(セグメント分析)
(2)統一的な基準の検証・改善
・固定資産台帳の精緻化(精度の底上げ、施設との紐付け)
・固定資産台帳と他の台帳(公有財産台帳等)との連携
・財務書類の計上方法の精査 ←※今回の該当テーマ
・予算執行との連携による早期作成・精緻化・負担軽減
《貸借対照表における所有外資産の計上》
統一的な基準のマニュアルの一つである「資産評価及び固定資産台帳整備の手引き」では、「管理者と所有者が異なる指定区間外の国道や指定区間の一級河川等については、当該地方公共団体の資産としては計上しない」とされている。これがいわゆる「所有外資産」の例である。一方で、これらの資産の整備に要する経費に充てた地方債は負債に計上されてきたため、資産と負債でアンバランスが生じる問題が指摘されていた。
今回の研究会では、管理者と所有者が異なる資産=「所有外資産」の計上について、事務局より資産計上するパターン三つと、計上はしないものの表示や注記はするパターン二つが示された。
委員の総論として「所有外資産」を計上し、オンバランスさせる方向の意見が大勢を占めたものの、事務局案一~三はいずれも適さない部分があり、わかりにくいという意見も出され、「所有外資産」というネーミングはともかく、新たな科目で計上する方向で検討する可能性も出てきた。
「所有外資産」を計上すると、国の財務書類と二重計上になる問題もあり、今後公認会計士の資格を有する委員を中心にワーキンググループを構成し、専門的な見地から議論を深め、親研究会に報告する進め方が提案され、概ね委員の賛同を得た。会計的な議論だけでなく、実務的な取り扱いもそこで議論されるものと思われる。
《地方公会計の「活用」がなぜ進まないのか》
なぜ、「活用」が進んでいないのかについて、事務局より仮説一~仮説四が示された。そのためか、活用が進まない理由についての意見が多く出され、活用の具体的な中身の議論はあまり進まなかった。
公共施設等総合管理計画への活用、施設別への活用のアプローチでは、「中長期的なトータルコスト」や「ライフサイクルコスト」を盛り込めるかということを、事務局では強調しているように見受けられた。
活用が進まない一つの理由として、外部専門人材の不足を事務局は挙げているが、委員からは、外部人材の不足というよりは、自治体内部人材の育成の問題ではないかとの意見が出された。「統一的な基準」策定当初は、都道府県の勉強会等の機会があったが現状は少ないという。