コラムcolumn

2024年07月23日

公会計のサポーターを育てる

 「公会計改革を推進していくためには、何をすればよいのか?」私が習志野市で公会計の担当になったときに思い悩みました。
 その一つの答えが「公会計のサポーターを育てる」ということでした。どういうことかというと、公会計の業務に複式簿記の知識が必要だと理解してくれる職員を育てることかと思いました。
 公会計の勉強会や研修会を2時間程度したところで、公会計のサポーターにまではなりえませんでした。

 そこで、自主的な勉強会を継続して実施したり、公会計の会報を発行したりしました。工夫した点として、日商簿記の3級講座も行ったことです。簿記の資格をとれば公会計が理解できるのか?決してそうではありません。しかし、公会計を理解するためのアイテムというか武器を手に入れたことになります。公会計の業務に限らず、行政の経営改革を考える上での大きなアドバンテージであることは事実です。しかし、働きながら簿記の勉強をすることは、私が想像していた以上に難しいこともわかりました。

 そんな中で、簿記の検定試験に合格した方のメッセ―ジを紹介します。
 「過去6回分の検定試験問題を、解答・解説を見ながらでも何度でも解けば、必ずできるようになりますという宮澤さんの言葉が励みとなりました。私の場合は、毎月配られた問題を制覇してから過去問に取り組みました。つまずいたところはテキスト振り返り、結局、過去問を6回分3回ずつ繰り返したところで受験し、3級に合格することができました。」(女性Sさん)

 自主的勉強会は全部で25回、延べ参加人数は305名、会報の発行やメールによる情報交換も行いました。勉強会を通じて簿記や公会計に興味を持ってくれる公会計のサポーターが誕生しました。業務として各担当課に依頼した公会計関係の調査にも好意的に協力をしてくれました。

 私自身も公会計のサポーターからアドバイスをもらったことがあります。公認会計士などを採用して公会計の専門集団を作りたいという考えに対して、「必要なのは裾野を広げることやそれぞれのレベルを上げることだと思います。そのためにはこれまでの活動を地道に続けながら少しずつ活動を広げていく方が、周囲の人たちに認めてもらえるのではないでしょうか。いきなり大きなことをやろうとしても、反発ばかりで余計に進みませんよ」。
的確なアドバイスをもらいずいぶん助かりました。

システムディ顧問 宮澤 正泰(元習志野市会計管理者)